中学校の教科書が変わる-英語編

投稿日:2020年12月25日

前回は、 来年(2021年度)から中学校の教科書が変わることをご紹介しました。中でも、学習内容が大きく変化するのが英語です。目指すのは「使える英語」を習得すること。

今回は、英語の学習内容がどのように変わるかを見ていきましょう。

小学校で学習したことと連携

中学英語の新しい教科書は、小学校で英語が教科化されたことを受け、それに連携する内容になります。小学校では文法を学びませんので、まず、本編の学習開始前に、小学校で扱った内容を取り上げ直し、その文法事項を学んでいきます。

2020年度までの教科書では、中学3年までに扱う単語数は、約1,200語程度です。それが、新しい教科書では小中合わせて約2,500語程度と、現状の約2倍となります。

  • 小学校で扱う単語:600~700語
  • 中学で新たに扱う単語:1,600~1,800語

ただ、これらすべての単語を読み書き出来なければならないということではありません。もともと語彙には、受容語彙(読んだり、聞いたりして理解できる単語)と発信語彙(書いたり、話したりする際に用いる単語)があります。日本語においてもそうですが、日常生活では大量の受容語彙を使用しますが、その中で使用頻度の高い語彙が発信語彙として形成されます。

中学で何を受容語彙とし、何を発信語彙とするかは使用する教科書により異なりますが、いずれにしても、今まで以上に多くの英単語に触れることになります。

内容が高度化

新しい教科書では、文章量が増加し、取り扱うテーマが高度化します。理科などの他の教科の内容やSDGsについて、英語で学ぶものもあります。文法事項としては、従来高校で学習していた内容の一部がおりてきます。

  • 感嘆文 (基本的なもの)
  • 原形不定詞
  • 現在完了進行形
  • 仮定法 (基本的なもの)

これらの内容を学ぶことで、状況を的確にとらえられるようになり、英語で表現できることの幅が広がります。

4技能5領域を満遍なく

小学校では、「聞く」「話す (会話と発表)」の2技能3領域について学習しますが、中学では、「読む」「書く」を加えた、4技能5領域を総合的に育むことが求められます。

  • 聞く
  • 話す (会話と発表)
  • 読む
  • 書く

4技能をバランスよく伸ばすということは従来から言われていたことですが、全国学力調査等の結果によると、現状は「書く」「話す」に関して特に課題があることが分かっています。

今後は、リピートではない即興での英語のやりとりや、英語での作文、発表など、英語を使って自分の考えを発信することの重要性がさらに増すことが考えられます。

また、「読む」ことについても、文章量が増えるため、高速処理が必要となります。さらに、難易度の高い英単語も登場するため、従来以上に高い読解力が求められます。

高校入試への影響

山梨県の高校入試への具体的な影響はまだ分かりませんが、今後数年の間に英語の入試問題が難化することは避けられないでしょう。

東京都では、コロナの影響で開始時期が一年後ろ倒しされましたが、2022年度(現中1生が高校受験するとき)から、スピーキングテストの実施が予定されています。

また、大阪府立高校では、すでに問題文が英語化され、英検等の民間資格を入試の英語の点数に読み替える制度も導入されています。(例えば英検2級を取得していれば、80点が保証され、さらに当日点が80点を上回ればそちらが採用されます)


英語は言語ですので、実際に使うことで上達します。なかなか小中学生の日常生活で英語を使う機会はありませんが、英語の歌を聞いたり、英語のドラマや映画をみたり、勉強以外でも楽しみながら英語に触れる機会を増やしてみませんか。