投稿日:2020年12月20日
・大学入試改革
・英語教育改革
・学習指導要領の改訂
皆さんも、テレビや新聞などで、これらの言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?これらの3つの軸で進められている教育改革に伴い、小学校では今年(2020年度)から新しい教科書を使った授業が始まっています。
そして来年(2021年度)からは、中学校でも教科書が改訂され、新学習指導要領に準じた授業が本格的に始まります。
今回は、来年以降の中学校の教科書がなぜ変わるのか、何が変わるのか、その概要を2回にわたり皆さんにご紹介したいと思います。
なぜ、何のために?
そもそも、戦後最大ともいわれるほどの教育改革が行われている背景には何があるのでしょうか?
- AIやロボット技術の飛躍的な進化
- グローバル化
今の小中学生が大人になるころは、今ある仕事の多くが自動化され、今は存在しない仕事に就くだろうと言われています。
また、少子高齢化に伴い、海外から多くの労働者を受け入れることで、将来どのような職業についたとしても、英語を使う機会が、今より格段に増えることが想定されています。
今回の一連の改革は、このような予測困難な時代を生きぬくための力をつけ、幸せを実現できる子供を育むことを目的としています。
では、学校の授業はどう変わるのでしょう?
新学習指導要領では、社会にでてからも学校で学んだことを活かせるよう、以下の3つの力をバランスよく育むことが柱となっています。
- 知識及び技能
- 学びに向かう力、人間性
- 思考力、判断力、表現力
教科書はどう変わる?
まず、「知識・技能」に関する部分では、国数理社の4教科で学習内容の大きな変更はありません。その一方で、大きく内容が変わるのが英語です。従来高校で学習していた内容が中学におりてくることや、取り扱う単語数が約2倍になることなど、学習内容が大きく変化します。(英語の変更点については、次回のブログで詳しくご紹介します。)
では、「知識・技能」以外の部分はどう変わるのでしょうか?
全教科共通の変化
学び方の変化
新しい教科書では、主体的・対話的で深い学び(アクティブラーニング)へ導く仕掛けなど、学び方に工夫が凝らされています。キャラクターによる「見方・考え方」などが示され、課題に対して、生徒同士の対話を促す場面がふんだんに取り入れられます。そのため、全体的にページ数は増加傾向です。
また、複数の資料から情報を取捨選択し、自分の意見を形成し、表現する、というような演習が追加されます。「知識・技能の習得」だけではなく、それを「どう使い、どう生かすか」いうところに踏み込んだ内容となっています。SDGsも全教科でとり扱われます。
知識のつながりと広がりを強化
冒頭ですでに学習した内容を復習し、次学年での学習につながる内容があればそれを紹介するなど、 小学校―中学校―高校で学ぶことが円滑につながるように、 学びの縦の接続が強化されています。
また、学習したことに関連して、他の教科の内容を紹介し、知識の広がりとつながりを持たせるなど、教科間の横の接続も重視されています。
教科書のICT化
新しい教科書では、QRコードが掲載され、関連資料や英語の音声などを視聴出来るようになります。
さらに、文部科学省が進める1人1台のPC端末の環境が整えば、画面上にデジタル教科書を表示し、教科書に情報を書き込んだり、部分的に拡大したりすることができるようになります。
今回の改訂で特に大きな影響を受けるのは、現中2生です。この学年は、来年1年間新しい教科書による授業を受けただけで、新学習指導要領に則った高校入試を迎えることになります。
このような変革期の高校入試では、ある程度の都道府県が配慮を行うことも多いため、地域による違いが出てくることも予想されます。山梨県の高校入試がどのように変わっていくのか、気を付けてみていく必要がありそうです。
次回は、大きく内容が変化する英語の教科書の変更についてご紹介したいと思います。